因縁の御曹司と政略結婚したら、剝き出しの愛を刻まれました
「それは残念ねえ。でも、先生は家元だからお世継ぎは必要だし」
「第一先生はとても奥様を愛されてらっしゃるのに……そんなことで離婚になったら、おふたりともかわいそうね」
家政婦たちの話はまだ続いていたが、私はこれ以上聞いていられず、よろよろとその場を離れた。
手の中にあった短冊をいつの間にか強く握ってしまい、ぐしゃぐしゃに皺が寄ったそれを見たら、思わず涙が出た。
もしも私の体に問題があるなら、仏様だって織姫様だって、私の望みは叶えられない。
病院に行くべきなのかな。でも、ハッキリ私が子どものできな体だとわかったら……。
その後は自室に引きこもり、布団を敷いて横になっていた。
やがて外が騒がしくなり、光圀さんが上野の香道教室から帰ってきたのだと察する。
どんな顔をして出迎えればいいのかわからず、布団の上で目を閉じる。
ずっと顔を合わせないのは無理だけれど、今はひとりでいたい……。
そんな願いもむなしく、光圀さんは数分で私の部屋の前にやってきた。
「和華」
襖越しに呼びかけられ、返事をためらう。