因縁の御曹司と政略結婚したら、剝き出しの愛を刻まれました
「ああ、忘れるところだった。これは太助お手製の……」
バッグを膝の上に置いた光圀さんが、口を開いて中身を取り出す。
出てきたのはプラスチックの保存容器がふたつ。
ひとつにはだし巻き卵がたっぷり詰まっていて、もうひとつはカラフルな野菜のマリネだった。
「俺が頼んだのはだし巻きだけだったんだが、悪阻なら酸っぱいものが欲しいのではないかと、太助が気を利かせてな」
「さすが……! 両方とも嬉しいです! 今日はお母さん、光圀さんのために私の食べられないご馳走いっぱい作ってると思うので、私はこっちをいただこうっと」
両手でケースを持ち瞳を輝かせていると、ジッと私を見ていた光圀さんがそのケースをサッと取って、バッグに戻してしまう。
「光圀さん?」
「太助の料理はもういいだろう。久しぶりに会えたんだ、きみの視線は俺が独占したい」
ドキ、と胸が高鳴る。光圀さんはじりじりと焦げそうなほどの熱い視線で私を見つめながら、手首を掴んで優しくベッドに倒した。
小さなシングルベッドがふたりぶんの体重でぎしりと軋んだ音を立てる。