因縁の御曹司と政略結婚したら、剝き出しの愛を刻まれました
「ありがとう」
「……いえ」
太助くんは短く答えると、すぐ土間に戻ってしまった。人見知りをするタイプなのかな。それにしても、美味しそうな朝食……。
ふっくらとした白飯、はじかみの添えられた鮭の塩焼き、なめこと豆腐の味噌汁、だし巻き卵、ほうれんそうのお浸し。彩りも栄養バランスも完璧な純和風の朝食に感動し、しみじみ両手を合わせる。
「いただきます」
まずはお味噌汁をひと口飲んで、胃を温める。それから左手に茶碗を持ち、鮭をひと口味わった。
「はぁ~、美味しい」
「それはよかった。そういえば聞くのを忘れていたが、苦手な料理や食材はないか?」
「はい、ないです。光圀さんは?」
「俺は……」
ふと、光圀さんの目が私の食事をちらっと捉える。
どの料理を見ているかまではわからないが、眉間に皺を寄せてとても不機嫌そうだ。
もしかして、この中に苦手なものが?
「……なめこ」
名前を呼ぶのすら抵抗があるようで、光圀さんはボソッと吐き捨てた。
試しに味噌汁のお椀を彼の顔に近づけると、すかさず手をかざして拒否した。