因縁の御曹司と政略結婚したら、剝き出しの愛を刻まれました
「おなかすいたよ~ん……」
光圀さんが、ムーディーな低音で読み上げる。
スタンプの絵柄は、丸々太った子ブタが滝のように涙を流しているものだから、イケメンボイスのアテレコに違和感ありまくりだ。
「なるほど。和華の気持ちをこの絵が代弁しているわけだな。確かにかわいらしいが……」
スマホを見ていた彼の視線が、ふと私の方へ移動する。美しい漆黒の瞳にジッと見つめられ、鼓動がジャンプする。
「な、なんでしょう?」
「俺としては、そっけない文字だけだとしても、和華の手で打たれたものがいい。その方が、きみの心の温度を感じられる」
心の温度……。光圀さん、それを計りたいと思ってくれているの?
意外だけれどうれしくて、胸の奥がくすぐったい。
「わ、わかりました。極力、自分の言葉でお伝えします」
「ああ。俺もそうするから」
光圀さんからのメッセージ、楽しみだな……。
甘酸っぱい気持ちに浸りながら、光圀さんと微笑み合っていたその時。
「あのう、お食事ができましたが」
そばで太助くんの遠慮がちな声がして、夢から覚めたようにハッとした。
慌ててスマホを片付けると、太助くんが小上がりの畳に膝をつき、木製のトレーに乗せた食事を私の前に置いてくれる。