因縁の御曹司と政略結婚したら、剝き出しの愛を刻まれました
少し心細くなりながら、ふわふわのだし巻き卵を口に入れる。
だしのうま味と微かな塩味、卵本来の甘味のバランスが絶妙で、ほんのり焦げた風味がまたいい。
太助くんはとても料理がうまいようだ。
「伊織も連れて行くから、太助、留守を頼む」
「……はい」
先ほど嫌味を軽くあしらわれたのが気に食わなかったのか、太助くんはぶすっとした顔で返事をした。
光圀さんが食堂を去ってすぐ、彼は大きなため息をつく。
「楓子さんの本性も見抜けないで、なにが家元だよって感じですよね」
「えっ?」
耳を疑うセリフに、思わず食事の手を止めた。太助くんはお茶を淹れてくれたようで、丸いお盆に湯のみを乗せ、再び私のもとにやってくる。
それから、緑茶の爽やかな香りがする湯呑をテーブルに置き、私の正面に座った。
顎を支えるように頬杖を突き、薄茶色の瞳で顔を覗き込んでくる。
「和華さんは、なんで先生と結婚したんですか? お金目当て?」