因縁の御曹司と政略結婚したら、剝き出しの愛を刻まれました
中学二年の時、私が額にやけどを負ったことは、貴英ももちろん知っている。
けれど、その原因が光圀さんだというのは、彼女にも親にも話していない。
私の不注意でもあったから、光圀さんだけを悪者にしたくなかったのだ。
だから、貴英は私がただ実家の店を救うために光圀さんと結婚したと思っている。
今は本当のことを言えなくて申し訳ないけれど、いつか光圀さんと本当の夫婦になれたら、その時に笑って打ち明けようと思う。
「だよね。ごめん……でも、それなりにうまくやってるよ。光圀さん、真面目でいい人だし」
「うん、和華の顔を見ればわかるわ。ちなみに旦那様、初夜も優しかった?」
貴英が、耳元でコソッと聞いてくる。途端にドキッと胸が跳ね、顔に熱が集中した。
「いや、あの……私たち、まだそこまでは」
「えっ? そうなの?」
意外そうに目を丸くする貴英に、小声で説明した。
夫婦で一緒に寝ること自体はすっかり習慣にはなったものの、彼の気遣いで、スキンシップはハグやキスまでで止めてくれているのだと。