因縁の御曹司と政略結婚したら、剝き出しの愛を刻まれました
貴英は小学生時代からずっと彼ひと筋。ふたりが近づくきっかけは、私にとっても印象深い出来事だった。
小学生の頃から少し大人びていた貴英は、女子たちの羨望と嫉妬の対象だった。
高学年になるにつれ陰口を叩かれるようになり、一番仲良しの私も一緒にクラスから孤立する。
オロオロ不安がる私とは対照的に、貴英はいつでも大人の態度を貫きしゃんとしていた。
だから、一番そばにいる私すら、貴英は強い子だから大丈夫なんだと勘違いしていた。子どもだったとはいえ、我ながら浅はかだったと思う。
ある日、同じ教室内でいつものように貴英を『ブスだよね』けなす女子たちがいた。
そんな彼女らに立ち向かって行ったのが、いつも飄々とクラスを傍観していた兵吾くんだった。
『毎日毎日よく飽きないな。どっからどう見ても、集団で悪口言うお前らの方がブスなのに』
黙り込む女子たちを無視して、兵吾くんは私たちの元へやってくる。そして、呆れたように言ったのだった。
『強がりもほどほどにしないと、ああいうヤツらをつけ上がらせるだけだぞ』
その時、貴英の目から初めて、大粒の涙がぽろぽろとこぼれた。ずっと、くだらない陰口で泣くものかと気を張っていた貴英。
でも兵吾くんに救われたその時だけ、我慢できずに涙がこぼれてしまったそうだ。