因縁の御曹司と政略結婚したら、剝き出しの愛を刻まれました
ふっくらとしたうなぎに甘辛いタレ、それらのうま味がしみ込んだご飯。食後もその最高のマリアージュを思い出して貴英と何度も「美味しかったねえ」言い合い、店を出る。
「この後どうする?」
「貴英の実家のお店って、男性用の和風小物なんかもある? あるなら覗きたいな」
「あるけど……ははーん、旦那様にね? 和華ってわかりやすーい」
貴英は口元に手を当て、冷やかすような流し目を送ってくる。
「いや、だって、クリスマスケーキとか用意してくれてるみたいだから、私からもなにかあげないと不公平かなって」
「いいわよ別に言い訳しなくても。香道家の旦那様、いつも着物だって言っていたわよね。細工の凝った絹の扇子とか、お洒落な羽織紐なんかいいかも。そうと決まれば、善は急げよ」
「うん。ありがと貴英」
照れくさいのはいったん脇に置いて、私は素直にお礼を言った。
ふたりで店を目指す途中、ふと道路を挟んだ向こうの歩道に、知った顔が歩いているのに気づく。
ジーンズにダウンジャケットというカジュアルないで立ちは醍醐家にいる時と印象が違うけれど、あれは……。
「太助くん?」
足を止め、ぽつりと呟く。
よく見ると彼の向こう側には女性も歩いていて、彼らは親しげに腕を組んでいた。