因縁の御曹司と政略結婚したら、剝き出しの愛を刻まれました
過去を懐かしむ光圀さんの目に、切ない色が浮かぶ。
クリスマスのお祝いはなく、誕生日プレゼントも香道具。家元って、子どもの時からそんな風に色々我慢しなくてはならないんだ。
自然と同情心を抱いて彼を見つめていたら、光圀さんが苦笑して私の頬に手を添えた。
「……そんな顔をするな。大人になってしまえばどうってことない。こうして、自由なクリスマスを過ごせるようにもなったしな」
安心させるような笑みを向けられ、私も微笑んで頷いた。
つらい記憶があるのは光圀さんの方なのに、私が励まされてどうするの。
「じゃ、今日は思い切り楽しみましょう! どうせなら、家政婦や弟子の方たちも一緒にお食事するのはどうですか?」
「あまりにぎやかなのは苦手だが……その方が、クリスマスらしいか?」
経験がないので、クリスマスパーティーのイメージが湧かないのだろう。
もちろん、夫婦で静かにお祝いするのもアリだけれど、せっかく同じ家に暮らす者同士なのだ。
クリスマスくらい、使用人と雇い主、師匠と弟子といった垣根を越えて、みんなで食事をしてもいいんじゃないのかな。
「はい。みんなで食べて飲んで、たくさん笑いましょう?」
「わかった。伊織を呼んで、料理を追加させよう」