囚われの令嬢と仮面の男
「だって。この花壇に埋まっているのは……人の骨でしょう?」
お父様の足元に人差し指を向けた。私が差した方向に倣い、お父様の視線が穴の奥に向けられた。
「十六年前、ママが屋敷から出て行ったというのは、嘘なんでしょう??」
お父様は無言で息を吐いていた。私が掘り起こした人骨を空々しく見下ろし、「ローラは」と口を開いた。
「私とおまえを置いて出て行ったんだ」
今までに何度も聞いた台詞だ。それ以上のことは何ひとつ言わず、お父様は私と目すら合わせなかった。
ごくりと唾を飲み込んだ。私は意を決して、決定的な証拠を晒すように尋ねた。
「じゃあ。お父様の書斎にあった、あの髪の毛はなんなの?」
「……なに??」
一瞬にしてお父様の顔つきが変わった。眉をひそめて私を射抜く。痛いほどに鋭い視線だった。
「私の書斎に勝手に入ったのか?」
「ええ、そうよ。お父様が所持している銃を使って、地下にいるエイブラムを助けようと思ったの」
「……馬鹿なことを」
やれやれと言いたげに首を振り、お父様が大仰にため息を吐いた。
お父様の足元に人差し指を向けた。私が差した方向に倣い、お父様の視線が穴の奥に向けられた。
「十六年前、ママが屋敷から出て行ったというのは、嘘なんでしょう??」
お父様は無言で息を吐いていた。私が掘り起こした人骨を空々しく見下ろし、「ローラは」と口を開いた。
「私とおまえを置いて出て行ったんだ」
今までに何度も聞いた台詞だ。それ以上のことは何ひとつ言わず、お父様は私と目すら合わせなかった。
ごくりと唾を飲み込んだ。私は意を決して、決定的な証拠を晒すように尋ねた。
「じゃあ。お父様の書斎にあった、あの髪の毛はなんなの?」
「……なに??」
一瞬にしてお父様の顔つきが変わった。眉をひそめて私を射抜く。痛いほどに鋭い視線だった。
「私の書斎に勝手に入ったのか?」
「ええ、そうよ。お父様が所持している銃を使って、地下にいるエイブラムを助けようと思ったの」
「……馬鹿なことを」
やれやれと言いたげに首を振り、お父様が大仰にため息を吐いた。