海であなたが救ってくれました
「いきなり訪ねるんだし、直接話せるとは限らなかったから連絡先を伝えておきたくて」


 カードにはお礼の言葉と共に、私の電話番号やメッセージアプリのIDを添えておいた。
 たとえ今日会えなくても、由稀人くんならあとで連絡をくれるだろうと考えて。


「なんだぁ、私のアシスト要らなかったじゃん。手作り弁当を差し入れされるって、初めから脈アリだったわけね」


 私たちのやり取りを聞いていた横手さんが溜め息混じりにぼやき、図星を指された私はさらに顔を赤くする羽目になる。


「もういいから黙ってろよ!」

「はいはい。上の人たちには、霧矢はお昼休憩に入ったって言っといてあげる。さっさとランチデートしてこーい」


 由稀人くんが顔をしかめると、反対に横手さんはからかうようにニヤリと笑う。
 そして私に軽く会釈をして、颯爽と事務所へ戻っていった。


「琉花さん、ごめんね。横手はデリカシーがなくて」

「ううん。はっきりした性格なだけなんだと思う。素敵な人だね。由稀人くんと……仲よさそう」

「誤解だよ。ただの同期だから」


 笑みをたたえつつうなずいていたら、彼が下から覗き込むようにして私と視線を合わせた。


「もしかして、さっき逃げたのは妬いたから?」


 ニヤニヤを堪えながらおどける彼の腕に、返事の代わりに軽くパンチを当てる。
 図らずも横手さんのおかげで私の気持ちは口にしなくても透けてしまったようだ。

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