海であなたが救ってくれました
「私も同じ気持ち。どうしてもあなたにまた会いたかったの。好きになっちゃったから」

「琉花さん……」

「由稀人くん、あの日、私を見つけてくれてありがとう」


 ハニかんでうつむこうとしたところで、彼の大きな左手が伸びてきて、私の髪に指を差し込みながら後頭部を支えた。
 至近距離で目が合い、そのままふわりとキスが落ちてくる。
 彼の唇からは、私が作った玉子焼きの甘い味がした。


「海であなたが救ってくれた」

「自殺は俺の早とちりだったけど」

「ううん、そうじゃなくて。あのときは精神的に参ってたから。あなたのやさしさに救われたの」


 失恋し、感情優先で会社まで辞めてしまったから、八方塞がりのような気持ちだった。
 死ぬ気はなかったものの、この先の人生に希望を見いだせずにいた。

 だけど由稀人くんと出会ったことで、失恋の痛みは不思議とたちまち消えていった。


「琉花さんが探してた指輪って、ブルーの石がついてるやつ?」

「え、そうだけど……もしかして見つけてくれたの?」


 目を丸くして尋ね返せば、彼は苦笑いしながら首をコクリと振った。
 ブルーの石……指輪に付いていたのはラピスラズリだったし、おそらく間違いないだろう。

 翌日、出勤前に探してくれたらしい。わざわざ早起きまでして。

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