赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました
そんな私の状態を見ている麻里奈ちゃんなので、普段だったら〝麻里奈が主役なんですけど! 偉そうに座ってないでくれる?〟なんて顔をしかめそうだけれど、こうして私が楽なようにソファや控室まで準備してくれたというわけだ。
今日、私が身に着けているのは薄いグレーのハイネックのワンピースで、五分丈の袖がレースでできている可愛らしいデザインのものだ。今日のために匡さんが用意してくれて、初めて袖を通したけれどとても肌触りがよく気に入っている。
ひざ丈のスカートも細かいプリーツが入っていて、歩くと揺れ綺麗だ。
ふっくらとしてきたお腹を内側から蹴られるのを微笑ましく見ていると、私の斜め前に立っている匡さんが「どうかしたか?」と少し心配そうに聞いてくるので首を振った。
「いえ。元気に蹴ってくるので眺めていただけです。……あの、匡さん、ずっと私のそばにいて大丈夫ですか?」
招待客は、ざっと見たところ三十人から四十人ほど。親戚や恩師、習い事の先生だと言う。同世代の人は見当たらず、ほとんどが母くらいの年代の方だった。
桧山グループの仕事関係の人はいないにしても、久しぶりに顔を合わせる親戚だっているだろう。
だから聞いたのだけれど、匡さんは「問題ない」と答えた。
「祥子さんも麻里奈も年に何度もなんだかんだと理由をつけてそれなりの人数を集めた催しを開くし、全員、いいところ数カ月ぶりというところだ。珍しい顔もいない。俺も美織が出席すると言わなければわざわざ来なかったくらいだ」