赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました


『信頼は置いているが、できればもう会いたくはない相手だ』と匡さんが言ったのを聞き、なんだかそれは冷たい気もしたものの、沢井さんの職業を考えれば頷けた。

いつか偶然すれ違うような偶然が訪れたらいいと思う。

「せっかく美味しそうなケーキがあるのに、食べられないのが残念です」

妊娠中の体重増加は要注意だ。
今のところ定期健診で指摘されてはいないものの、初めての妊娠だし初期に苦しい思いをしたことも手伝い、色々な数値にビクビクしている。

最近は普通に食事をとれるようになったので、これから体重が増えていくのは容易に想像がついた。

「食べても大丈夫だろ。むしろ悪阻で相当体重も体力も落ちている分、しっかり食べておかないと出産に体が持たない。その方が心配だ」

「体力はもう戻ってますよ。昨日も一時間くらい散歩しましたけど、なんともなかったですし」

言ってからしまったと思った。
叔父さんとの件が片付いて以降、私の外出禁止令は無事解かれた。

けれど、入院騒動があったこともあり、匡さんはまた私の外出には眉をひそめるようになっている。

以前のように禁止令が出ていたわけじゃないから、私も滝さんに心配されない程度に散歩に出かけたりしているのだけれど、なんとなく匡さんには内緒にしていた。

こんなふうに心配されるのがわかっていたから。


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