赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました
「麻里奈だって最初は全然納得できなかったけど、今はもうなんとも思ってないしいいの! 家柄とか本人にはどうしようもない部分で否定するのは性格悪すぎだし、匡くんと美織さんにまず〝おめでとう〟って言えないのは大人として恥ずかしいと思う」
匡さんと私と祥子さん、三人してポカンとしていると、麻里奈ちゃんが口を尖らせる。
「いいからママはどっか行ってて。麻里奈、匡くんと美織さんと三人で話したいんだから」
怒った表情でハッキリと言った麻里奈ちゃんが、祥子さんの背中をぐいぐい押して遠くに追いやる。
まさか麻里奈ちゃんが祥子さんから私を庇ってくれるとは思ってもみなかっただけに驚きのあまり声をなくしてしまった。
匡さんも「まさかここまで懐いているとは思わなかった」と少し信じられなそうな声で呟いていたので、私と同じ心境だったのだろう。
祥子さんは戸惑った様子を見せながらも、最後は諦めて会場を一度出て行った。
その後を麻里奈ちゃんのお父様が追っていったのを見て、少しホッとしていると麻里奈ちゃんが「美織さん、座ってていいよ」と声をかけてきた。
その顔にはまだ不機嫌さが残っていて、気持ちの切り替えができていない様子が可愛くておかしくなる。
最近気付いたけれど、桧山家の遺伝子には〝心配性〟だとか〝怖がり〟の成分がやや多く含まれている気がする。
匡さんしかり、麻里奈ちゃんしかり。