リスタート〜さよなら、私の初恋〜
教室に戻ると、もう既にHRは終わっていて休み時間になっていた。

「陽向」

自分の席で、一限目の準備をしていると誰かが近づいてきて私の名前を呼んだ。

「なに、瞬」

私はその人物に一瞬目線を送ってすぐ、机の上に戻した。こんな素っ気ない態度を取りたいわけじゃ無いんだけどな。

「あ、いや……大丈夫?」

一瞬戸惑ってからそう聞く瞬。何のことについて大丈夫か聞いてるのかはよく分からないけど、心配してくれたのは少し嬉しい。

「大丈夫だよ 」

さっきよりは穏やかな口調で、瞬の方を見て言った。すると瞬は、安心したようによかった、と呟き自分の席へと戻って行った。やっぱり、私がさっきあんなことを言ったせいで瞬もいつもと少し違う。卒業までの「1ヶ月」、瞬とは今まで通り仲良しでいたかったのに。

「弱気になっちゃ駄目だ」

誰にも聞こえないように小さな声でそう言って、自分自身を勇気づけた。私は瞬に、告白するんだ。
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