ママの手料理 Ⅲ
｢君の持ってるその感情と僕の感情は同じってわけだね。…あ、バーベキューソース発見｣


いきなり会話を中断された銀河は、その持て余した感情を何処に吐き出すか迷った挙句、


｢…バーベキューソース、何に使うんだ｣


自分の感情を何とかコントロールし、冷静を装って尋ねた。


｢ん？血糊だよ｣


｢なるほどな………え？血糊！？｣


今日の夕飯はカレーだよ、と同じノリでそんな言葉を言わないでもらいたい。


一瞬納得しかけた銀河は次の瞬間大声を出し、慌てて口を押さえた。


近くに居る外国人の集団が、自分達に変な目を向けてくる。


｢何で血糊作るんだよ…、｣


単なる買い出しのはずが、面倒臭い事に巻き込まれた。


他の客が日本語を理解出来ない事が、今の彼らにとって唯一の救いである。


銀河は、バーベキューソースを手に取ってしげしげと眺めている最年長mirageを見ながら、今日何度目かになる大きなため息を零した。





｢…あー、そういやそんな事もあった気が…｣


｢3年前に出来なかった事をここでリベンジしようと思って。良いアイデアでしょ？皆を驚かせたいから、誰にも言わないでね｣


その後、ドヤ顔の仁が説明してくれたのは、3年前に銀河が大也と航海と深夜にビデオ電話で計画を立てていた際に出てきた話題だった。
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