ママの手料理 Ⅲ
そしてその半歩後ろから付いてくる、白いスーツを着た執事のような男性だった。


その執事のような男性はとても温厚そうな顔をしていて、私達のテーブルのすぐ近くまで来ると、私達に向かって優しく微笑んだ。


私達も、軽く会釈をして笑顔になる。


｢皆様、ようこそアメリカへ。この度は、私共の依頼を受け入れて下さり誠に感謝しております｣


｢ジェームズー！結婚おめでとー！ねえ俺の事忘れてない？元気だった？｣


しかし、そんなジェームズさんの声は大也の興奮気味の声により半分遮られ。


(礼儀はどこ行ったの…)


半分青い顔をして固まる私をよそに、ジェームズはにこりと笑って自身に駆け寄ってきた大也を抱きとめた。


｢お久しぶりですね、大也さん。随分元気な様で、私も安心致しました｣


｢ジェームズ、たまには手紙でも送ってくれれば良かったのに…それより、僕より早く結婚するなんて許さないからね？｣


｢申し訳ありません。何せ、忙しかったもので…｣


続いて席を立った仁さんが彼の元へ駆け寄り、3人は仲睦まじく会話している。


大也の遮りを怒らないあたり、ジェームズさんは相当心が広いのだろう。


その3人の姿を見ていると、何だか久しぶりに再会した家族がその健闘を称えあっているかのように見えてきて何だか微笑ましくなる。
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