ママの手料理 Ⅲ
私が養護園に居た時、1歳くらいの子や生後数ヶ月の子が親から預けられているのは何度も見てきた。
けれど、へその緒がついたまま捨てられていた赤ちゃんなんて見た事がない。
「養護園で現実逃避しまくった結果、2つ目の人格を作ったのはどこのどいつだ?自分に都合の悪い状況になったらすぐに壱を出して自分はその陰に隠れる。卑怯だと思った事はねぇのかよ」
「それとこれとは話が別でしょう?何を言って」
獣のような恐ろしい瞳をした琥珀が、間髪入れずに仁さんの言葉に噛み付いた。
「別じゃねえよ。何自分だけ逃げようとしてんだよ?いい子ぶって、ナルシスト気取りにならねぇと自分を肯定出来ないなんて最悪な人生だなぁおい」
大きな舌打ちの後、仁さんが琥珀の胸ぐらを掴んだ。
壱じゃねぇから力弱ぇな、と、琥珀は鼻で笑った後。
「お前の家族の事、こいつらにばらしていいのかよ」
今までで1番ドスが効いていて、地を這う様な声で囁いた。
「……」
仁さんがひゅっと息を飲んだのが聞こえる。
「…お前、確か血の繋がった」
その時。
「や、…言わ、ないで……」
誰の声かと疑いたくなる程のか細く震えた声が、仁さんの口から漏れた。
けれど、へその緒がついたまま捨てられていた赤ちゃんなんて見た事がない。
「養護園で現実逃避しまくった結果、2つ目の人格を作ったのはどこのどいつだ?自分に都合の悪い状況になったらすぐに壱を出して自分はその陰に隠れる。卑怯だと思った事はねぇのかよ」
「それとこれとは話が別でしょう?何を言って」
獣のような恐ろしい瞳をした琥珀が、間髪入れずに仁さんの言葉に噛み付いた。
「別じゃねえよ。何自分だけ逃げようとしてんだよ?いい子ぶって、ナルシスト気取りにならねぇと自分を肯定出来ないなんて最悪な人生だなぁおい」
大きな舌打ちの後、仁さんが琥珀の胸ぐらを掴んだ。
壱じゃねぇから力弱ぇな、と、琥珀は鼻で笑った後。
「お前の家族の事、こいつらにばらしていいのかよ」
今までで1番ドスが効いていて、地を這う様な声で囁いた。
「……」
仁さんがひゅっと息を飲んだのが聞こえる。
「…お前、確か血の繋がった」
その時。
「や、…言わ、ないで……」
誰の声かと疑いたくなる程のか細く震えた声が、仁さんの口から漏れた。