没落令嬢は今日も王太子の溺愛に気づかない~下町の聖女と呼ばれてますが、私はただの鑑定士です!~
「ええ。国王陛下より伺いました。そのような話が出たが、取り消したと。王太子妃には私こそ相応しいと仰いましたわ。オデットさんのご実家は敵対勢力で大層貧しいそうですわね。もしあなたが妃となったらジェラール様が恥をおかきになります。あなたも後ろ指をさされるかもしれません。白紙に戻ってよかったですね」

(白紙に……。私は殿下と別れなければいけないの?)

やっと言われている意味を理解したら、悲しみが押し寄せて足がふらつき、ブルノに支えられた。

サラはオデットの手から原石を奪うように取り上げると、勝ち誇った笑みを浮かべる。

「実はロイヤルワラントのジュエリー店に先に原石を見てもらったんです。オデットさんが言うように八カラットほどの大きな石を切り出せるそうです。婚約指輪としてこの指に飾られるのがとても楽しみ。できあがったら見せに参りますわね」

オデットの目が潤んだら、ルネの大声が響いた。

「聖女だかなんだか知らないけど、オデットを傷つけたら許さないわよ!」

サラに向けて突進するルネは、騎士に腕を掴まれ捻り上げられた。

痛そうに顔をしかめても、オデットのために喚いてくれる。

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