没落令嬢は今日も王太子の溺愛に気づかない~下町の聖女と呼ばれてますが、私はただの鑑定士です!~
「言っとくけど、王太子殿下は毎日会いに来るほどオデットに夢中なのよ。殿下があんたなんかを選ぶわけないでしょ!」

「おい娘、聖女様に無礼を働くな。口を慎め」

「無礼なのはそっちでしょ。宝石を見せびらかしに来るなんて、この性悪女が。さっさと出ていきなさい!」

「黙らんと連行するぞ」

ハッと我に返ったオデットは、慌ててルネを止めようとカウンターを出た。

するとブルノが低い声を響かせる。

「ここは私の店で、店内での主権は私にあります。聖女様、お引き取りを。大事な仲間を傷つける者はお客様と認めません。二度とお越しくださいませんように」

普段は穏やかなブルノが明らかに怒っていた。

サラは謝ろうとしないものの、年配の男性は苦手なのか素直にドアへ向かう。

「騎士様、参りましょう。今日はジェラール様とのお茶の席を設けると、国王陛下に言われております。そろそろお城へ向かわないといけません」

カランコロンとドアベルを鳴らし寒空の下に出ていく三人を、ルネが鼻の付け根に皺を寄せて睨む。

「おじさん、塩まいといて。聖女があんな嫌な女だと思わなかった。がっかりよ」

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