没落令嬢は今日も王太子の溺愛に気づかない~下町の聖女と呼ばれてますが、私はただの鑑定士です!~

彼がいつも出し惜しみせず豊かな愛情を示してくれるので、信じられるのだ。

オデットが考え込んでいると、ブルノに心配そうに顔を覗き込まれた。

それでオデットは気丈に微笑んでみせる。

「私は大丈夫です。ルネの言うように殿下に伺えばわかることですから。お話を聞いてから考えます。もうすぐティータイムの時間ですね。きっと今日もいらっしゃると……あっ」

サラがこれからジェラールとティータイムを過ごす話をしていたと思い出した。

会えないと思ったら、急に不安が膨らみ泣きたくなる。

(この心細さに、明日まで耐えられるかしら……)

ブルノにこれ以上の心配をかけたくないので、オデットは爪先をドアへ向けた。

「すみません。もう一度、郵便局に行ってきます。実家宛ての手紙を出すのを忘れていました。私って駄目ですね」

返事を待たずに店を出て、ルネに止められないようにコロンベーカリーと反対側へ走る。

涙があふれて頬を伝い、拭おうとしたら、ドンと誰かにぶつかってしまった。

「すみませ――」

謝ろうとしたらハハッと笑われ抱きしめられる。

「オデット、捕まえた。そんなに急いでどこに行くの?」

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