没落令嬢は今日も王太子の溺愛に気づかない~下町の聖女と呼ばれてますが、私はただの鑑定士です!~
その言葉と頼もしい腕に守られている安心感で、オデットの涙は引いて笑みが戻る。

「信じます。泣いてしまってごめんなさい」

「いや、俺が悪い。昨日のうちに状況を説明しておくべきだった。それを話しながら行こう」

「どこにですか?」

「リバルベスタ教会だ」

途中で辻馬車を拾い、二十分ほどかけてリバルベスタ教会に着いたらちょうど、ジェラールが説明を終えた。

実家がレオポルド派の貴族とみなされているオデットとの結婚話が出たところでの聖女降臨。

人が変わったように横暴に聖女を娶れと息子に命じる国王。

ジェラールはそれらに疑問を抱いており、教会を訪ねるのは、『企みを暴くため』だと話してくれた。

誰がなにを企んでいるのかなどは教えてくれないが、オデットは教会前の石階段を上りながらホッと頬を緩めた。

(殿下はいつも私を助けてくださる。殿下が大丈夫と言うからには、すべてうまくいくに違いないわ)

ジェラールへの厚い信頼がオデットの胸を弾ませもして、この件で泣くことはもうないと感じていた。

教会の大きな両開きの扉は片方だけ開いており、礼拝に訪れた信者たちで賑わっていた。

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