没落令嬢は今日も王太子の溺愛に気づかない~下町の聖女と呼ばれてますが、私はただの鑑定士です!~
「オデットは前世の記憶があるのか。それが異世界の日本人?」

嘘だろと言わないのは、オデットが裏表のない正直者だと知っているからだろう。

いつも余裕たっぷりのジェラールが目を見開いているので、オデットは戸惑った。

(そんなに驚くことかしら?)

「オデットは不思議な娘だと思っておったが、なるほどな」

バロ司教は納得して頷き、ジェラールはクックとおかしそうに笑う。

「もっと早く教えてよ」

「あ、そうですよね。ごめんなさい」

小さい頃に前世を両親に話したら、頭がおかしくなったのかと心配されて医者を呼ばれた。

それ以来、信じてもらえないだろうという考えが先に立ち、誰にも話さなかったのだ。

今はそのような心配をせずにサラリと打ち明けられたのだが、それはジェラールなら疑ったりしないと信頼しているからだろう。

「私は前世でも宝石を買い取る仕事をしていたんです。生まれ変わっても宝石に縁のある生活ができて毎日楽しいです」

フフと笑って簡単に前世を話せば、ジェラールが嬉しそうに感嘆した。

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