没落令嬢は今日も王太子の溺愛に気づかない~下町の聖女と呼ばれてますが、私はただの鑑定士です!~
(逃がしてくれないのが嬉しいなんて……)

どこまでも高まる動悸と恋心。

いつもは欲のないオデットが、誰に反対されてもこの恋を実らせたいと冬空に願うのだった。



ジェラールに連れられリバルベスタ教会を訪れてから一週間が経ち、今日は王城晩餐会当日である。

外は吹雪いて月も星も見えないが、城内の大邸宅は暖かくシャンデリアが煌々と輝いて眩しいほどだ。

オデットはサーモンピンクの夜会用のドレスに銀色のパンプスを履き、結い上げた髪はピンクのバラの生花で飾っている。

すべてジェラールが用意してくれたもので、首から下げているのも以前彼がプレゼントしてくれたダイヤのネックレスだ。

肩が露出したデザインの夜会服は初めて着るので、オデットは落ち着かない。

けれども周囲にいる貴婦人たちは胸が見えそうなほどカットが深いドレスだったり、背中まで肌を晒していたりするので、オデットの夜会服は露出が控えめな方だろう。

オデットの隣でエスコートしてくれるのはジェラールだ。

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