没落令嬢は今日も王太子の溺愛に気づかない~下町の聖女と呼ばれてますが、私はただの鑑定士です!~
彼のライトグレーの夜会服は襟や袖の折り返しに銀刺?が豪華にあしらわれ、襟のジャボにはブリリアントカットのグリーンダイヤモンドのブローチが留められている。

グリーンダイヤはカラーダイヤの中で最も希少価値が高く、オデットの鑑定欲求を刺激したのは言うまでもない。

それに加えて華やかに着飾ったジェラールは絵のように麗しく、王族然とした優雅で堂々とした振る舞いにオデットの胸は高鳴りっぱなしだ。

(ドキドキに耐えられなくなりそうだから、ジェラール様の方をあまり見ないようにしよう)

ここは晩餐会会場ではなく、隣接された待機室だ。

早く着いた招待客たちは、晩餐会の開始時間までここでシャンパンやフルーツを口にしたり、他の貴族と話をしたりと自由に過ごす。

ソファも置いているが、グラス片手に立ち話をしている者が多い。

待機室は三部屋あり、ここには百人ほどの貴族がいるようだ。

オデットはジェラールについて挨拶回りに忙しい。

「バラデュール伯爵、ようこそお越しくださいました」

ジェラールが声をかけたのは恰幅のいい中年貴族で、夫人を伴っている。

「ご夫人もようこそ。昨秋の園遊会以来ですね」
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