没落令嬢は今日も王太子の溺愛に気づかない~下町の聖女と呼ばれてますが、私はただの鑑定士です!~
レオポルド派の貴族がなぜ招待されていて、しかも王太子にエスコートされているのかと言いたげに見える。

これまで挨拶した貴族たちからも似たような反応をされており、オデットは貴族社会の洗礼を浴びた気分で委縮した。

思わず首をすくめたら、心配いらないというようにジェラールがオデットの肩を抱いた。

「オデットに尋ねたいことがありましたら遠慮なく仰ってください。代わりに私が答えます」

「い、いえ、なにも……」

伯爵は焦って笑みを作り、夫人は取り繕うようにオホホと笑う。

「お美しいお嬢様ですこと。社交界に慣れていらっしゃらないのかしら。緊張なさっているご様子が可愛らしいわ」

「そうでしょう。オデットはこれまで表舞台に上がらなかった分、慎ましく清らかな心を持っています。皆さんにもオデットを知っていただきたい。とは言っても、中には受け入れられない方もいるでしょう。実に嘆かわしいことです。バラデュール伯爵ほどの方がまさか、か弱い女性を標的にするような真似はなさらないと思いますが」

意味ありげな視線を向けられて、バラデュール伯爵夫妻は笑みを強める。

「もちろんでございますとも」

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