没落令嬢は今日も王太子の溺愛に気づかない~下町の聖女と呼ばれてますが、私はただの鑑定士です!~
紳士的な笑みをたたえてはいるが、怒らせてしまったかとサラが顔色を青くしたら、インペラ宰相が笑った。
「異世界よりご降臨されて間もないのですから、多めに見ていただきたいものですな。サラ様、殿下は狭量な方ではないのでご安心くだされ」
ジェラールは不愉快さを顔に出さないようこらえているような雰囲気で、インペラ宰相を快く思っていないのがオデットにも伝わった。
「インペラ宰相から聖女を皆さんに紹介してください」
「いえいえ、殿下を差し置いて私がでしゃばるわけに参りません。私はエスコートをお引き受けしただけでございます」
「ご謙遜を。誰よりお詳しいのはインペラ宰相でしょう」
含みのある言い方をしたジェラールに、インペラ宰相は一瞬真顔になった。
けれどもすぐに笑みを取り戻す。
「サラ様が我が屋敷でお過ごしなのをご存じでしたか。ご降臨されて身寄りがなく、それでしたらとお誘いしたのです。仰る通り、ほんの少しだけ詳しいかもしれませんな。では私から紹介させていただきましょう」
バロ司教を訪ねた時に、インペラ宰相の名を聞いたとオデットは思い出していた。