没落令嬢は今日も王太子の溺愛に気づかない~下町の聖女と呼ばれてますが、私はただの鑑定士です!~
「ほう。ルビーがついたスプーンですな。慶事用でしょうか。これがなにか?」
いかにも初めて見たと言いたげな言動の伯爵に、ジェラールが真顔で説明する。
「ある少年がカルダタンに持ち込んだスプーンで、元々は女性が持っていたもののようです。私はその女性を探している。柄の裏にグスマン家の紋章が刻まれているのですが、心当たりはありませんか?」
「どれどれ、ちょっと拝見いたします」
スプーンを手に取りひっくり返して紋章を確かめた伯爵は、隣の席の夫人に問いかける。
「このスプーンに見覚えはないよな?」
「私は見たような気がしますわ。かなり前に使っていたものかしら。調べさせましょうか」
「いや、そこまでしなくていい。私の記憶にないのだから我が家のものではない。おそらく我が家の紋章を勝手に使った不届きなカトラリー職人がいるのだろう」
「なんのためにそんなことを?」
夫人と同じ疑問をオデットも持った。
けれども伯爵は答えずに「お前は黙っていなさい」と夫人を注意し、話を終わらせようとする。
いかにも初めて見たと言いたげな言動の伯爵に、ジェラールが真顔で説明する。
「ある少年がカルダタンに持ち込んだスプーンで、元々は女性が持っていたもののようです。私はその女性を探している。柄の裏にグスマン家の紋章が刻まれているのですが、心当たりはありませんか?」
「どれどれ、ちょっと拝見いたします」
スプーンを手に取りひっくり返して紋章を確かめた伯爵は、隣の席の夫人に問いかける。
「このスプーンに見覚えはないよな?」
「私は見たような気がしますわ。かなり前に使っていたものかしら。調べさせましょうか」
「いや、そこまでしなくていい。私の記憶にないのだから我が家のものではない。おそらく我が家の紋章を勝手に使った不届きなカトラリー職人がいるのだろう」
「なんのためにそんなことを?」
夫人と同じ疑問をオデットも持った。
けれども伯爵は答えずに「お前は黙っていなさい」と夫人を注意し、話を終わらせようとする。