没落令嬢は今日も王太子の溺愛に気づかない~下町の聖女と呼ばれてますが、私はただの鑑定士です!~
「王太子殿下、申し訳ございませんがこのスプーンについてはわかりかねます。我が家とは無関係のものでございますので」
ジェラールがスッと目幅を狭めた。
「本当に? なにか隠していませんか?」
「いえいえ滅相もございません。なぜお疑いになるのですか。我が家は争いごとを好みませんので、王太子殿下のご命令には従う所存にございます。しかしながらこれに関しましてはお力になれず、大変残念に思うばかりです」
グスマン伯爵家は王家に反意を持つレオポルド派でも親王派でもなく、いわば中立派だ。
『なにも危険はないから安心してついておいで』とオデットは前もってジェラールから説明されていた。
敵意はないが長居されては困るようで、伯爵がわざとらしくふらつきながら席を立った。
「実は昨夜は徹夜で仕事をしていたので体調が悪いのです。若い頃はひと晩くらい平気でしたのに、私も年をとったものですな。せっかくお越しいただいたのですが……」
夫人が怪訝そうに夫を見ている。
昨夜は私の隣で大いびきをかいていたでしょうと言いたげで、さすがのオデットでも伯爵が嘘をついているのではないかと勘繰った。
ジェラールがスッと目幅を狭めた。
「本当に? なにか隠していませんか?」
「いえいえ滅相もございません。なぜお疑いになるのですか。我が家は争いごとを好みませんので、王太子殿下のご命令には従う所存にございます。しかしながらこれに関しましてはお力になれず、大変残念に思うばかりです」
グスマン伯爵家は王家に反意を持つレオポルド派でも親王派でもなく、いわば中立派だ。
『なにも危険はないから安心してついておいで』とオデットは前もってジェラールから説明されていた。
敵意はないが長居されては困るようで、伯爵がわざとらしくふらつきながら席を立った。
「実は昨夜は徹夜で仕事をしていたので体調が悪いのです。若い頃はひと晩くらい平気でしたのに、私も年をとったものですな。せっかくお越しいただいたのですが……」
夫人が怪訝そうに夫を見ている。
昨夜は私の隣で大いびきをかいていたでしょうと言いたげで、さすがのオデットでも伯爵が嘘をついているのではないかと勘繰った。