ゆっくり、話そうか。
「俺の事好きだって言ったのに?」

「そう、好きやで?」

「俺も園村さんが好きだよ?多分俺の方が好きだけど」

なにそのマウント。
せめてにっこり微笑んで…。

デレているでも恥ずかしがっているわけでもなく、ただただ本心と事実を伝えているだけなのに、真顔で言われると真実味が増して心臓に悪い。
現に、さっきからばくばくしすぎでどうにかなりそうだ。
寿命の心配さえしてしまうほどに。

「あ、ごめん、そっか」

肝心なことを伝えてなかった。
初めての事で勝手が分からなかったと一人でこち、そして改めてやよいに向き合った。
やよいの腰に腕が回されて、引き寄せられる。
吸い込んだやよいの息の音が、日下部にも届いた。

「園村さん、君がそばにいてくれたら安心する。俺が幸せになりたいから、付き合ってください」

手を繋いだままやよいの頬に触れ、おねだりするように人差し指でなぞる。
なんて率直でなんて、自分本意───
告白のしかたまで日下部まんまで、けれど、痛いくらいに込められた気持ちに真実味を感じる。
彼の中で求めるものは幸せ。
たったそれだけ、多くは望まない。
恋愛感情がもたらした幸せの欠如を埋めるには、恋愛感情の成就しかなかった。

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