ゆっくり、話そうか。
夜の風に乗って、タンポポの笛の音が遠くへ飛んでいく。
ざわつく木々が重なるとオーケストラのようにも聞こえ、でもやっぱり音痴な音色がコミカルさを醸し出していて笑えた。
これで二重奏やったらなぁ…。
と、隣にいる日下部に目をやる。
「下手くそやね、日下部くん」
日下部の前には小さくなったいくつかの茎が落ちていて、そのほとんどの先が潰れている。
先ほどから何度もトライしているのに、うんともすんとも言わせることが出来ていない。
ずっと空気が吹き抜けているだけ。
小学生でもちょっと教えればコツを掴んでプープー鳴らせ、なんだったら数本一気に音を出すことだって可能なのに。
器用なのか不器用なのか。
生きていく上で絶対必要ではない事なためできなくてもどうと言うことはないが、なんでもそつなくこなせると思っていた日下部の意外な一面につい顔がニヤけてしまう。
「まぁ、おやつでも食べてゆっくりやろ?」
どうせ眠れやんし。
ポケットからおやつを取りだし、封を切って日下部にも一つ渡す。
前にお礼で渡したきな粉棒。
「これ好きだね」
「うん、おいしいもん」
既に口に含んでいたやよいがモゴモゴしながら答えた。
確かに美味しかった。
あの日もらったものをその日のうちに食べてしまうほどには。
日下部も一口食べ、好みの味ときな粉の芳ばしさにほっこりした気持ちになった。
そうやって二人で無言で食べているとあっという間に空になって、ゴミとなった袋をやよいが折り畳んでまたポケットに戻した。
ざわつく木々が重なるとオーケストラのようにも聞こえ、でもやっぱり音痴な音色がコミカルさを醸し出していて笑えた。
これで二重奏やったらなぁ…。
と、隣にいる日下部に目をやる。
「下手くそやね、日下部くん」
日下部の前には小さくなったいくつかの茎が落ちていて、そのほとんどの先が潰れている。
先ほどから何度もトライしているのに、うんともすんとも言わせることが出来ていない。
ずっと空気が吹き抜けているだけ。
小学生でもちょっと教えればコツを掴んでプープー鳴らせ、なんだったら数本一気に音を出すことだって可能なのに。
器用なのか不器用なのか。
生きていく上で絶対必要ではない事なためできなくてもどうと言うことはないが、なんでもそつなくこなせると思っていた日下部の意外な一面につい顔がニヤけてしまう。
「まぁ、おやつでも食べてゆっくりやろ?」
どうせ眠れやんし。
ポケットからおやつを取りだし、封を切って日下部にも一つ渡す。
前にお礼で渡したきな粉棒。
「これ好きだね」
「うん、おいしいもん」
既に口に含んでいたやよいがモゴモゴしながら答えた。
確かに美味しかった。
あの日もらったものをその日のうちに食べてしまうほどには。
日下部も一口食べ、好みの味ときな粉の芳ばしさにほっこりした気持ちになった。
そうやって二人で無言で食べているとあっという間に空になって、ゴミとなった袋をやよいが折り畳んでまたポケットに戻した。