エリート警察官は彼女を逃がさない

side seiji

ーー美緒。
夢の中で優しく笑う彼女の顔が浮かんでは消えていく。そして次に浮かんだのは厳格な父の顔で俺はため息をつく。

『いい加減に現場はやめろ』
警視総監を父に持ち、大学をでた俺は誰しもが現場ではなく官僚の道を歩むと思っていた。
そんな親の七光りのような道は歩きたくなくて、公安に入りたいと言った時、父はかなり怪訝な顔をした。

美緒が俺に聞いた役職は全部が違うわけではないが、本当の俺の部署は公安部外事課だ。

武両道を掲げられた二階堂に生まれ、幼い頃からずっと英才教育をされてきた俺の周りには、俺のステイタスに寄ってくる人間ばかりだった。

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