あの夜を閉じ込めて
冬夜さんが作るガラスに魅了されていると、外から奇妙な音が聞こえてきた。ザク、ザクザクとなにかを掘っているような音に引き寄せられるようにして、店の扉を開けた。
「……なにをしてるんですか?」
そこにいたのは、大きなスコップを持った冬夜さんだった。
「逆になにをしてるように見えます?」
「雪かきですか?」
「はい。今やっておかないと、明日出られなくなるんですよ」
冬夜さんはすでに積まれている雪の山に新たな雪を投げていた。私が歩いてきた時はここまで降ってなかったのに、たった三時間でブーツがすっぽり埋まるくらいの積雪なっていた。
「た、短時間でこんなに積ってしまうものなんですか?」
「まだマシなほうですよ。ひどい時には一晩で60センチくらい降る地域もありますよ」
「ひえ……そ、想像できないです」
東京でも雪が降ることはあるけれど、地面がほんのりと雪に覆われる程度だ。それでもすぐに交通機関がダメになってしまうから、北海道の電車やバスは本当にすごいと思う。
「私も手伝っていいですか?」
「いいですけど、けっこう疲れますよ」
「任せてください。ここら辺一帯の雪をかけばいいですか?」
「はい。じゃあ、このスコップ使ってください。俺はもう一本あるのでそっちを使います」
よし、と気合いを入れる。実は雪かきに憧れがあって、一度やってみたいと思っていたのだ。
私は元気よく次々と雪をスコップですくっていく。しかし、軽いと思っていた雪は驚くほど重くて、雪山に放り投げるだけで一苦労。ものの十分で息が上がり、寒いはずなのに額には汗が滲んでいた。
「ほら、疲れるでしょう」
動作が遅くなっていく私を見て、冬夜さんは言わんこっちゃないというような顔をしていた。