あの夜を閉じ込めて
――『やっぱりこれが邪魔だな』
繰り返し、あの夜のことを思い出す。
『あ、ゆ、指輪。すみません、すぐ外します』
『いいよ。べつに。ただの嫉妬』
『今なら……あのオレンジの海に投げられそうです』
『本当に? じゃあ、有言実行』
『え、よ、洋服っ』
『もう散々見たからいいよ』
一緒に捨てた婚約指輪は、一瞬で溶けた。私の胸に重くのし掛かっていたものまで、消えたような気がした。
冬夜さん、冬夜さん、冬夜さん。
恋しい人の名前を心で叫ぶ。