あの夜を閉じ込めて


「と、冬夜さん……。私、これ以上は無理かもしれないです……っ」

「ほら、まだ全然空気が入ってないですよ」

「んんーっ、ハア………ど、どうですか?」

「まだまだ」

まさかガラス作りに肺活量が必要だなんて思ってなかった。私は思いきり息を吹き続ける。でもガラスの大きさはちっとも変わらない。

「ここに力を入れてみてください」

「……ひゃっ」

突然、冬夜さんからお腹を触られた。思わず変な声が出ちゃった。恥ずかしい……。動揺してしまった私とは違って、彼は冷静に作業をサポートしてくれた。

「じゃあ、もう一回吹いてみてください」

「は、はい」

「そうそう、上手」

ガラス玉が膨らんでいくほどに、冬夜さんへの意識が私の中で大きくなっていく。

他の女性客にもこんなふうに優しく接するんだろうか。そんなバカなことを思った。

ガラス玉を見つめる真剣な瞳。Tシャツから窺える逞しい腕。力強くて器用な指先。誰にも真似できない唯一のものを作り出すガラス職人さん。

どこを切り取っても美しくて、魅力的だった。

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