先輩からの卒業
事故に遭う少し前、俺は電話で加恋にこう言ったらしい。
「やっぱり好きな子のことが忘れられない。加恋とはもう付き合えない」と。
俺はあの日、奈子と別れた後、すぐに家に帰ろうとしたんじゃない。
マンションから少し離れた場所で電話をしたんだ。
加恋と話をするために───。
だけど、結局その日話がまとまることはなく帰り道俺は事故に遭った。
後日、病室で「もう別れてあげる。だけど私から別れたことにして。振られたなんて私のプライドが許さないから」加恋は椅子に腰掛けることもなくそう言い放った。
加恋が好きだったのはあくまでもサッカー部エースで周りからチヤホヤされてた俺。
告白された時からわかっていた。
だから、俺も奈子を忘れるために俺のことを本気で好きじゃない加恋を利用したんだ。