先輩からの卒業


「そんなの私だって……。先輩から色んなものを奪った私が先輩を好きでいちゃだめだって、何度も諦めようとしました」

「それも、俺が早く事実を伝えられていたなら、奈子がこんなにも罪悪感を背負わずに済んだんだ。俺だって奈子の大切な時間を奪ったんだよ」

そんなことない。私は先輩に奪われたものなんて一つもない。

……もしかしたら、先輩もこの2年同じ気持ちだったのかもしれない。

私は今初めて、好きな人に謝り続けられるというこれまでとは違う意味の辛さを知った。



「私達、一緒にいるとお互い謝って自分を責めて。その繰り返しですね」


「……だな。ごめん」


「ほらまた。でも、私はそういうところも含めて先輩が好きなんです。中3の頃からずっと」


「え?」

私の言葉に先輩は驚いたような表情を見せる。


話の途中バレンタインのチョコの話が出たことで、先輩は私の気持ちに気づいているんじゃないか?そう思っていたが、どうやらそれは私の思い違いだったらしい。




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