先輩からの卒業


「私もこの気持ちは卒業と共に消さないとって思ってました。諦めが悪いのは私も同じです」

私の言葉を聞くなり、先輩はもう一度私の身体を自分の元へと引き寄せた。


さっきとは違い、その身体に身を任せる。

先輩の心臓の辺りからはトクントクンと優しい音がした。




「俺も奈子のことが好きだ。やっと言えた」


“やっと”その言葉に先輩からの長年の想いを感じる。



それは私も同じだから───。




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