呪われた令嬢はヘルハウスに嫁ぎます!
旦那様とは、毎晩閨を共にしている。

無口な旦那様が甘く囁いてくれることはあまりない。でも、私の名前をあの金の瞳で見つめられながら囁かれると、うっとりとしてしまう。

そして、毎晩身をあずけている。



「リーファ。明日、少し出かけるがかまわないか?」

「かまいませんが……どちらに?」

「……用事がある」



行き先も何の用事かも言わないけど、仕事だろうか。



身体を少し起こしたありのままの姿の旦那様は、慈しむように私の髪をなでている。

勿論、私も旦那様と同じ姿だ。



「時間がかかりますか?」

「そうだな……」

「では、私はジェフさんといますね……んんっ……」

「そうしてくれ……」



唇がゆっくり触れると、身体が重なるように近くなる。

また、今夜も一度では終わらない予感がすると、廊下を走る大きな音がした。



「離れろーー!!」

『いやん。ダーリンたら……!』



アーサー様の叫び声だった。



ドンドンドンドンドンドンッ━━━━!!



「ガイウス! 開けろ! 開けてくれ!!」



扉が壊れそうなほど、鬼気迫るものがあった。



「旦那様……アーサー様が……」

「チッ! 疫病神か、あいつは……!」



まさかの舌打ち!?

邪魔されて、旦那様の顔は怖い。



「ガイウスーー!」



アーサー様の叫び声が、益々響くと、旦那様も益々不機嫌になった。



「……ちょっと待っていなさい」

「はい……」



旦那様は、ズボンだけ軽く履くと不機嫌のまま、扉を開けた。



「何ですか? 何時だと思って入るのですか?」

「ガイウス……! こ、これを引き離してくれ! ずっとベッドに来るんだ!」

「一緒に寝ればいいじゃないですか? ジュリアはお化けだから、アーサー様の貞操は大丈夫ですよ」

「そ、そういうことじゃない! なんか寒いんだよ! 生身の身体じゃないからか隣にいると寒いだよ!」

『あら、そうなの? じゃあ、リーファの身体を借りて……あらあら、ちょうどいい格好ね! ガイウスったら! 欲求不満?』

「違う!」

「ま、まさか! リーファもガイウスと同じ格好か!? 無理やりしているのか!? いや、リーファの身体に乗り移れるのか!?」



旦那様の肩ごしから私のベッドの姿を見ないで欲しい!



バンッ━━!!



勢いよく扉を叩きつけるように扉を閉めた旦那様。



「アーサー様。何を考えているのですか。

リーファのことは、愛していると言ったでしょう」



「しかし、リーファは……!」



「リーファは受け入れてくれています。抵抗されたこともありません。……あと、ジュリア! リーファに乗り移るのは無しだ! リーファの身体でアーサー様のところに行ったら、その瞬間消滅させるぞ!」

『嫉妬深いわね~~』

「せめて、これを何とかしてくれ!」

『ダーリンったら……ジュリアよ。名前を覚えないタイプかしら? 女たらし? 困ったさんね~~』

「とにかく! 二人で仲良くやってください。ジュリアには、男をやる約束をしていたのです」

「な、何の話だ?」

「リーファが助かるためなら何でもすると、アーサー様が言われたでしょう?」

『私のおかげでリーファは生きているのよ? ダーリン。ふふっ』



頬をツンツンされて、また青ざめるアーサー様。



「まさか、俺は生け贄か!?」

「人聞きの悪いことを言わないでください。ジュリアは一緒に寝たいだけですから」

「身体に触ってくるんだよ!」

「いいじゃないですか。別に生娘じゃ、あるまいし……とにかく、これ以上邪魔しないでください」



そういうと、旦那様はアーサー様とジュリア様をおいて部屋に戻って来た。



「疲れた……」

「今日はもう寝ましょう」

「あの疫病神のせいだ……」



ベッドに入った旦那様に抱き寄せられて、軽く上にもたれる。

旦那様は不機嫌なまま、そのまま寝てしまった。



廊下のアーサー様はまた走ってジュリア様から逃げていた。













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