呪われた令嬢はヘルハウスに嫁ぎます!
木漏れ日がさしている書斎の窓際で、魔法の本を読んでいた。

キャビネットの上の置き時計を見ると、もうアフタヌーンティーの時間だ。



旦那様を地下にお誘いに行こうと地下の部屋に行くと、魔法薬の精製が終わったところだった。



「旦那様、お茶の時間です」

「もうそんな時間か……ちょうど良かった。リーファ、この魔法薬を飲んでくれ」

「幽体離脱しなくなるお薬ですか?」

「魔力を安定させる薬だ。多分、リーファは無理やり王妃の亡霊を力任せに追い出したから、一緒に引っ張られたんだ。魔力も少ないだろうが、乱れているのは間違いない。魔力が安定すれば、幽体離脱もしなくなるかもしれない」



蓋の開いた小瓶を渡されるが、紫色でなんだか毒々しい。

何を混ぜて作ったのか……怪しい……。

本当に、この魔法薬を飲むのかしら。



でも、旦那様が私のために作ってくれたのだから、飲まないという選択肢はない。



「……の、飲みますね!」

「あぁ、全部飲んでくれ」

「ぜ、全部……」



大丈夫! 一口で飲めば、味なんてわからないはず!



そう思い、目をつむり一気に飲み干した。



ゴクンと喉を通るが、独特の臭みがあり、しかも苦い……!

めまいがしそうなくらい不味すぎる……。



「どうだ?」

「……旦那様、味見は?」

「魔法薬の味見なんてしてどうするんだ? 俺は魔力のコントロールに困ったことはないぞ……もしかして、不味いのか?」

「……すごく苦いです」



不味いとは言えない。

でも、旦那様……この怪しい見た目から、どうだ? と、よく普通に聞けますね。

旦那様のことが、不思議だと思うと、唇を重ねてきた。



「……っんん……!」

「……本当だ……不味いな。しかし、砂糖を入れるわけには……」



私の舌に残ったものを味わったのか、初めて不味い魔法薬だと、気づいたらしい。

ぶつぶつと、「味を変えられるか……いや、しかし、材料が……」と悩んでしまった。

一生懸命作ってくださったのに、申し訳なくなる。



「だ、旦那様! 私なら、大丈夫です! ちゃんと飲みます!」

「しかし……毎日飲むのだぞ」

「が、頑張ります!」



旦那様が私のために作ってくれたものを、やはり、無駄には出来ない。



「……頬が赤いぞ。魔法薬のせいか?」

「旦那様のせいです……」

「それは悪かった。……お茶の時間だったな。何か甘いものを食べさせてやろう」

「はい」



この日から、旦那様の不味い魔法薬を、アフタヌーンティーの前に飲むことになった。









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