◇水嶺のフィラメント◇
『気にしなくていいよ。良かったらそれ、ちょっと貸してくれる?』
『あ、うん。はい、どうじょ』
両手で差し出されたグラスを受け取ったレインは、側面を確認するようにゆっくりとグラスを回転させた。
すると泉の照り返しが反射して、アンの後ろのずっと向こう、やってきた地下道を明るく照らし出したのだ。
『キミが来たのはあの道だと思うよ。ボクは一緒に行けないけれど、一人でも帰れるかい? キミが見えなくなるまで、このコップで光を当てていてあげるから』
その言葉を聞いてアンは光の先をジッと見詰めた。更に振り返ってレインの顔をジッと見詰める。
レインの笑顔はアンに勇気を与えたようだ。ややあって大きく頷く。
レインも満足したように頷いて、再びニッコリと笑ってみせた。
『それじゃあね、キミ……じゃなくて、アンシェルヌ。みんなからは何て呼ばれているの?』
『アンだよ! みんな、あたちをアンって呼ぶの』
『それじゃあ、ボクもアンって呼んでいい?』
『うん、いいよ! えっと~レイン。……えっと、えっとぉ~』
「アン」とは父王からも呼ばれる気に入った愛称だが、レインからの呼び掛けにはもっと違うニュアンスが感じられた。
こそばゆいような、それでいて心弾ませるような……とにかく幸せな予感が溢れてくる。
『あ、うん。はい、どうじょ』
両手で差し出されたグラスを受け取ったレインは、側面を確認するようにゆっくりとグラスを回転させた。
すると泉の照り返しが反射して、アンの後ろのずっと向こう、やってきた地下道を明るく照らし出したのだ。
『キミが来たのはあの道だと思うよ。ボクは一緒に行けないけれど、一人でも帰れるかい? キミが見えなくなるまで、このコップで光を当てていてあげるから』
その言葉を聞いてアンは光の先をジッと見詰めた。更に振り返ってレインの顔をジッと見詰める。
レインの笑顔はアンに勇気を与えたようだ。ややあって大きく頷く。
レインも満足したように頷いて、再びニッコリと笑ってみせた。
『それじゃあね、キミ……じゃなくて、アンシェルヌ。みんなからは何て呼ばれているの?』
『アンだよ! みんな、あたちをアンって呼ぶの』
『それじゃあ、ボクもアンって呼んでいい?』
『うん、いいよ! えっと~レイン。……えっと、えっとぉ~』
「アン」とは父王からも呼ばれる気に入った愛称だが、レインからの呼び掛けにはもっと違うニュアンスが感じられた。
こそばゆいような、それでいて心弾ませるような……とにかく幸せな予感が溢れてくる。