ホ・ン・ネ ☆
 数歩前を歩いている樹と凛が仲良さそうに話をしている。もうすでにお祭り会場に入って、まわりがにぎやかだから何を話しているか聞こえない。

「大丈夫?」

 横にいる湊が心配してくれた。

「うん。大丈夫……」

「あのふたりちらちら見ているけど、仲良いの気になるんでしょ? 大丈夫だよ!」

 湊が励ましてくれる。何が大丈夫かは分からないけれど……。とりあえず楽しもうかな?

 楽しもうと思っていたのに。

「浴衣、本当に可愛いな」

 人の少ない場所で座りながら焼きそばを食べている時、樹が凛に向かってまた可愛いって言った。一瞬また、こっちをちらっとだけ見て。

 ――なんかもう、嫌だ。
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