俺の側にずっといろ、生涯お前を守る
「まりえさん、お疲れ様です、マンションへ向かってもよろしいでしょうか」

「はい、お願いします」

まりえさんの様子がおかしい、なんか元気がないように感じた。

「まりえさん、どうかなさいましたか」

「どうもしません」

きっと慣れない環境で疲れたんだろうと、言葉をかけずに運転に集中した。

俺のマンションに到着したので、まりえさんに声をかけた。

「まりえさん、マンションに着きましたよ」

返事がない。

後ろの座席を覗き込むと、身体を横たえてぐっすり眠ってしまっていた。

参ったな。

抱き抱えていいものか迷った挙句、このままにしておくわけにもいかず、まりえさんを抱き抱えて部屋に向かった。

ベッドに横たえた時、彼女の唇と俺の唇が急接近した。

十年前の記憶が走馬灯のように蘇る。

実は俺とまりえさんは初対面ではない。

俺が二十歳の時、事件は起きた。

まりえさんが二十八歳、運転手の目を盗んでまりえさんは一人で行動してしまった。

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