白馬の王子と風の歌 〜幼馴染は天才騎手〜

 ――彼が競馬学校に入ったら、三年間逢うことが叶わない。

 そうなったら、彼はどんどん遠いひとになっていく。彼と張り合って一緒に馬を走らせていた幼い頃の自分は置いていかれてしまう。
 もう馬には乗らないと決めたのに、彼とはなればなれになるのが辛いなんて、自分でもどうかしてると思う。かといって、気持ちを伝えられる勇気もない。けれど、できることなら彼の夢を応援したい。なんらかの形で。

「……ハルマを陰で支えられる職業って、なんだろう」
「アスリート全般に言えることだけど、食の専門家とかいいんじゃない?」
「ショーマお兄ちゃん」

 あたしとハルマが接点を持たなくなったことを惜しむように、ショーマお兄ちゃんはあたしにお節介を繰り返す。
 ハルマもまた、あたしのことを気にしているんだよなんて、嘘かホントかわからないことも言うけれど。
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