白馬の王子と風の歌 〜幼馴染は天才騎手〜

「食の専門家？」
「俺たちのお袋、実は管理栄養士の資格とフードコーディネーターの資格を持ってるんだ。栄養士だけなら短大から取得できるし、実務経験を積みながらスポーツ管理栄養士の道を目指すこともできる」
「スポーツ、栄養士……？」

　栄養士といえば病院や学校、老人施設などで食事のメニューを提案するイメージしかなかったあたしに、ショーマお兄ちゃんはアスリートのための栄養士も少数ながら存在していることを教えてくれた。
　言われてみれば納得できなくもない。馬術をつづけているショーマお兄ちゃんは国体に出るほどだし、ハルマもプロ騎手になろうと毎日必死になって馬と向き合っている。そんな彼らを陰で支えているのは、馬がすきな父親だけでなく、母親も含まれているのだ。食事を作ることで、健やかな心と肉体に栄養を与えていたのだと。

「そういえばフーカちゃんって料理作れるんだっけ」
「うーん、人並みだよ。作るのはすきだけど、自慢できる腕前じゃないし」