白馬の王子と風の歌 〜幼馴染は天才騎手〜
 両親が共働きのあたしはよく同居している祖母と一緒に夕飯の支度をする。基本的な調理ならひとりでこなせるが、あくまで家庭料理の領域。毎日の食事から栄養バランスを考えて献立を提案するなど、とてもじゃないが無謀である。
 けれど、その回答をきいたショーマお兄ちゃんは「問題ないよ」とくすくす笑う。

「これから腕を磨いていけばいいだけだから。ハルマが競馬学校に進学したら三年間逢えなくなるんだ。そのあいだに彼や、彼のような食事制限を行うアスリートのための勉強をして、ハルマを驚かせてやれ」
「それいいかも……だけどショーマお兄ちゃん」
「なんだい」
「ハルマには内緒にしてくれる?」
「ああ。下手に期待させるのも可哀想だろ?」
「?」
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