白馬の王子と風の歌 〜幼馴染は天才騎手〜
 期待もなにも、あたしがすきで選ぼうとしていることなのに。
 首を傾げるあたしに、ショーマお兄ちゃんはぽつりとつぶやく。

「ハルマが夢を叶えて、実際にプロとして活躍できるまでは、言わない方がいい。二十歳で栄養士を取得した場合、実務経験三年で管理栄養士の資格試験を受けられるから、その時点でフーカちゃんは二十三歳。スポーツ管理栄養士はその先にある専門職だから」
「道は長いのね」

 競馬学校に入ろうとしているハルマと比べたらたいしたことはないだろうけれど、彼が十八歳でプロ騎手になると仮定すると、自分もなるべく早く一人前になって社会に出たいと焦ってしまう。

「そうでもないよ。最短ルートだと四年制大学で管理栄養士の資格を取る方法もあるからね。それに……フーカちゃんの気持ち次第だけど。ハルマ専属の栄養士になって永久就職することだって、夢じゃない」
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