紳士な副社長からの求愛〜初心な彼女が花開く時〜【6/13番外編追加】
初恋の彼。
それは、灯ちゃんが好きになった最初で最後の人で。
そんな彼との再会。
きっと、"好き"という気持ちを思い出すのもあっという間だっただろう。
あの夏の放課後にすれ違ってしまった2人は、再会して正しく気持ちを通い合わせ、ここからもう一度青春をやり直すのかもしれない。
灯ちゃんがますます可愛くなっていたのは彩也子ちゃんの言う通り恋をしていたからで。
灯ちゃんがこの前言い出しにくそうにしていたのはおそらくこのことで。
"好き"という気持ちが分からなくなった灯ちゃんに再び"好き"という気持ちを思い出させたのは、彼女が初めて好きになった人で、唯一好きになった人だったーーーー。
……なんて、良く出来たストーリーだろう。
2人の再会は、偶然じゃなくて必然。
そこに僕の入り込む余地は、もう1ミリもない。
僕は明日、3ヶ月という期間満了を待たずして灯ちゃんに終わりを告げられるのだ。
もともと、僕が強引に迫って手に入れた3ヶ月だった。
それでも灯ちゃんと過ごす日々がとても楽しくて、愛おしくて。
このままずっと続けばいいと、願わずにはいられなかった。
だけど、もう認めなくちゃいけない。受け入れなくちゃいけない。
良かったねと、大人の余裕を持って優しく灯ちゃんの手を放してあげなくちゃいけないのに。
ーーなのに僕は、お似合いの2人を前に、思わずあの場から逃げ出してしまったーー。