もしも半分生きた人生をやり直すことができたら。
優作を許すことができたのは、付き合ってから今日までの間、優作のわたしに対する行動や優しさには、誠実さがあり、プライベートと仕事含め、真面目なことは見てきたし、知っているから。
第一印象も決めつけていたイメージも最悪だったけど、一緒に過ごす上で見直したし、大好きになったから、優作のすべてを受け入れた上で、生涯一緒にいることを誓えると思った。


・・・が。


「だめなんだ」

「え??」

「ごめん」

「何が?」

「結月に悪い・・・」

「え・・・でも許すというか・・・確かにいけないことだけど気にしないよ」

「・・・・」

「養育費も一緒に払っていこうよ」

「・・・うん、ありがたいけど、でも結月に申し訳ない」

「え?」

嫌な予感がした。
冷汗が出そう。
「・・・結月を幸せにできない」

「・・・・・えっ・・」

「まだ結月25歳だし、まだ間に合うよ」

「・・・」

「別れよう」

「・・・」

「ごめん」

「・・・」

その後、わたしがどんなに抵抗しても、一緒にいる提案をしても、優作が折れることはなく、強制的に破局という選択肢を選ばざるを得なかった。
わたしはというと、現実を受け止めることができず、助手席で泣けもせず、ただ前を見ながら固まるだけ。

「よし、着いた」

優作はいつものように運転席から降り、わざわざ反対側の助手席まで回って助手席側のドアを開けてくれてた。
手際よく何の声をかけることなく、わたしのシートベルトをそそくさと外し、お姫様抱っこまでして車から降ろしてくれた。

「俺の荷物は捨ててくれていいからね」

苦笑いした優作がそう言って、「さよなら、ありがとう」と、自分の家に帰っていった。
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